なにもない
チアーヌ

両手でそっと包んだ鳩が冷たく固くなっていくということ
小さな部屋でひとり眠る夢のこと
最後の言葉を告げるためにやってくる
自転車のこと
同じくらい愛し合っていると思える人と出会い
二人でしっかりと抱き合っているとしても
肌の境界線を越えることはできないということ
何もかもを曖昧に保つために楽しくなるクスリに頼るということ
お腹の中にいたはずのこどもがわたしから分裂して産まれてくるということ

何かがあるわけじゃない
何もあるわけじゃない

時折わたしは何もかも投げ出して
泣き喚きたいような気持ちになる





自由詩 なにもない Copyright チアーヌ 2004-11-08 16:56:16
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