分光
高梁サトル


きみのその
そこはかとないさみしさを湛えた眼の奥の
ひとつの清澄な翳に交わろうとして失敗を繰り返すたび
嗚呼そんな、
そんな姿でよくここまで生きて出会ったねと
喉元を締め上げる想いに言葉を失くす

やわらかな布を纏うことを覚え
まるで滑らかな肌を手に入れたかのように笑っている
その下に在る強烈な自我に魅入って
こころが消尽してゆく錯覚に惑っているうちに
傾いてゆく今日を何度繰り返すのだろうかと

うっすらと滲む陽射しの端から
光があわくこぼれおちてゆく


自由詩 分光 Copyright 高梁サトル 2011-04-29 08:33:54
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