はての浜
望月 ゆき

あの日 
しゃがんで拾った貝殻は
引き戸の奥
ひしめきあいながら
眠っている。
波に濡らしてしまった、
と泣いた
スカートのすそで
今なお
夕暮れは踊る


あの日
目の前を通り過ぎていった
魚の
群れ、群れ、群れ
どこに向かって
どこにたどり着いただろうか。
焼き付けた脳裏の
水面
今は遠い
あなたの声が
跳ねる


向かうべき場所も
めざす場所も
あるわけじゃなかった
ただただ
およぎつづけること
それで、いい


あるきつづけること
それだけ



自由詩 はての浜 Copyright 望月 ゆき 2004-11-07 16:57:36
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