バス食いてえ
たもつ




バス 食いてえ
ツートン・カラーとか たっぷりの水分を含んだ 薄皮に包まれて
タイヤは曲がったゴムの匂い うは やっぱり
バス 食いてえ 
運転手が禁忌する交差点の手旗信号
それはかつて僕が書きなぐった遺書の類 薄皮に包まれている
びっくり どっきり 天然素材のバス 食いてえ
おねしょが直らない俺に母親は苦い薬を飲ませ続けた
丁度その頃 浅野ゆう子の太ももに初めて勃起した 少年の魂よ
バスは食ったか
バスがバスガス爆発 したバスの 平和的有効利用を考えてくれ
バスガイドよ その悲しく澄んだ右手で薄皮を剥いてくれ
ぷるん つるん そしてその果肉を食わせてくれ
遠い砂漠で死んでいった俺の兄弟のために泣けない俺に代わって泣いてくれ
母さん 俺はもう薬なんか飲みたくねえよ 
うは バス 食いてえ





自由詩 バス食いてえ Copyright たもつ 2004-11-07 10:25:14
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