青春
真山義一郎

むかし、むかし、
世界なんて滅びちまえ
って切に願っていた少年がいたんだ
でも、
いざ、世界が滅びる
その日に
彼は
僕とお母さんとお父さんと
あと、同級生の千絵ちゃんだけは
救ってください
救ってください
って祈ったんだ
なんだかわけのわからない存在に向かって
やけに青い空に向かって

めっちゃ、いい天気
ってわけでもないけど
まあまあ、いい天気
だけど、僕らはいつも憂鬱で
満員電車に押し込められて
まるで養鶏場の鶏みたいに
その日の義務と責任に押さえつけられる

泣くことも
笑うことも
忘れちゃったな

地震があった
でも、僕の日常は何も変わらなかった

だけど、ある夜
万年床の中で
やっぱり、僕、千絵ちゃんに恋してたなって不意に思い出して
泣くんだ
僕は泣くんだ
いつまでも
いつまでも

青春!
返してください
返してください
って
やっぱり、なんだかわけのわからない存在に向かって祈った
暗闇の中で
やけに汗臭い
布団の中で





自由詩 青春 Copyright 真山義一郎 2011-04-08 14:07:15縦
notebook Home 戻る  過去 未来