予感
アオゾラ誤爆

うすあおい膜をつき破って
枕木の連なるほうへ舵を取る
砂のような雨が降りやんだとき
手に残ったほのかな苦みを
ずっと知っていた気がして

はす向かいの家の窓がひらいている
しめきったカーテンがめくれると
秘密めいた香水の瓶が
チカリと輝くのがみえる
足音のような予感が近づいてくる

正常のありかをたしかめる
間もなく
塗り終えなかった両手のネイル
さくらの花びらのように
風にとばされてしまいそうな

なつかしい日差しに抱かれる
黄色の車が横切って
じぶんのくちからこぼれていたのが
かなしい春の歌だと知る


自由詩 予感 Copyright アオゾラ誤爆 2011-04-06 23:01:23縦
notebook Home 戻る  過去 未来