スカジャン午前二時
虹村 凌

夜中の2時までスーツ着てネクタイ締めてるなんて仕事はしたくねぇなと
スカジャン背負って煙草ふかしたままそう考えた(中2病の歌詞みてぇだ)
あぁガキの頃はスーツ着てネクタイ締めて仕事する事って夢見てたっけ?
いやぁ中坊くらいでそんな仕事はしたくねぇと思ってたはずだ
どんな「大人=裏切られた青年(笑)」になるかなんてわかりゃしねぇが
ガキの頃に夢見てた立派な大人にゃなれてねぇ気がする
スリーピースのスーツ着てカフスボタン付けてるような大人に憧れない訳じゃない
今でもそういうのは格好いいと思う
でも毎日それってのはそれもまたつまんねぇ気がするから
何となくで抗っているような事を言ってみる

良かれ悪かれ言いたい事を全部言う
それに伴う責任とか色々あるだろうけど
何か言いたい事あるなら話を聞くよ

別に生きる意味なんざ無ぇってのはわかってんだけど
ただ単に死にたく無いし
まぁ何だ
色々やりたい事あるから生きてるってだけで
種の保存と繁栄とかに加担する気はあんまりないんだけど
それでも子供とか生まれたらきっと嬉しいし楽しいのかも知れない
(結婚も出産も育児もそんなに簡単じゃないだろうって事はわかる)
そうなったら夜中の二時までスーツ着てネクタイ締めたりすんのかな
いやきっとスカジャン着て時給で働いてんだろう

不倶戴天とか徒手空拳とか言ってみるけど実際はそんな事なくて
空っぽの恨み辛みがどんどん弾けて飛んで消えて行く
美味い飯喰えて煙草吸えて好きな事やって生きてけてんだからそれでいいと
自分で背骨を抜いて牙を丸くしていく様な感覚
思い出したように叫ぶ不倶戴天と徒手空拳はどうしようもなく惨めで
ジリジリと迎合していく自分に焦りを覚える
尖ってなきゃいけない気がする
抵抗し続けなきゃいけない気がする
それがどういう事かとか何の意味があるとか関係無しに
抵抗をやめて迎合しきったら終わっちゃう気がする
何が終わるのかもわからないんだけど
(始まってるとか何だとかもう面倒臭くって仕方無い)

どうでも良い人生と言う事に気付く瞬間があって
あとはどうやって綺麗に演出するかくらいしか考える事がない
つまり好き勝手やりたいってだけで
夜中の二時までスーツ着てネクタイ締めた奴が
「人生そんなに甘くねぇよ」と鼻で笑う
その世界を回って見てきたようなツラが気に喰わないから僕は帰る
(何処に帰るかもわからないし、帰る場所なんて最初っから無いんだけど)

人生ナメてますが何か?
数年前に飛び降り自殺したSMの女王様も言ってたぜ
もうちょっと人生ナメて生きなきゃ楽しく無いし損するよって
そん時は何言ってんだから理解出来なかったけど今は何となくわかる
それでも夜中の二時までスーツ着てる男が俺の人生を鼻で笑うなら
もうちょっと色々と考えなきゃいけないのかも知れない


自由詩 スカジャン午前二時 Copyright 虹村 凌 2011-03-31 13:55:05
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