形骸
構造

いくつかの災厄のなかで
わたしは書机の下で頭をかかえておびえ
くらやみのなかで
あらゆる醜態をさらした
偽善と臆病とともに怒りを
蛙と虻のあと
彼らは過ぎ去ったように思えた
瓶につめられた手紙がいくつも浮かんだ
そして最後のいなごのあと
子らは逃げ去っていった

河は静かにもどることなく流れていく
おまえらは未来とともにあれ

おれたちはすべて
かつて行われた営為の
ほほえみやあきれはてた悪徳の
かつての形骸とともにあろう

すぎさったもの、もどってこないものどもの
ざわめきとほほえみとともに
たとえおれが灰のなかにいようとも
重い雪のなかにあろうとも
ゆくさきのない旅人たちが流転しつづける
ただそのことのみをながめながら
おびえるがいい
おれたちはただあきらめる

ただ数日前のむくろとともにあり
今朝の土埃を舌に感じ
わたしがただ形骸をいだくかぎり
それはわたしの街だ
そして神のねじまげられた魔力によって
この世では潮がさかのぼることもあるのだ


自由詩 形骸 Copyright 構造 2011-03-21 23:22:44
notebook Home 戻る