それでもサクラは咲くのです
西日 茜

八重桜
いくえにも重なって
淡い桃をたわわに逢せる
遠野の空の水と蒼
流れ流され血の紅滲む

それでもサクラは咲くのです

山桜
ひっそりと佇む
誰も知らない名前すら
無から生まれ無に還る
せめて乱舞の一時を

それでもサクラは咲くのです

枝垂桜
寺の奥庭際立つ姿
瞼の裏に焼きつけて
二度と帰らぬ時の絢爛
かつて犇めく宴の宵

時は一瞬飲み込まれ
逃げる間もなく
サヨウナラと手を振って

それでもサクラは咲くのです
それでもサクラは咲くのです
それでもサクラは咲くのです


自由詩 それでもサクラは咲くのです Copyright 西日 茜 2011-03-20 20:48:03
notebook Home 戻る  過去 未来