地雷原
ダーザイン

風の強い午後だった
僕は屋上の金網にもたれて
空っぽの青い世界を眺めていた
広大な草原を思わせる
羊雲
羊雲
心の翼をそっと広げ
空の青みに溶け込んでいった光の子供ら

遠い異国の丘の上では
子らが地雷に石を投げる
暗黒舞踏舞う崩壊者の
無の七色の
激しく燃える言葉のかけら
拾い集めて


切れ切れに
野を分けていく炎

丘から丘へ
どこまでも土埃の立つ白い道を行けば
荒れ野の果てには水晶の森
踏み後をたどり
どこまでも深く分け入ると
道の途切れる所
禁止空間の表示
道ばたには
真紅の柘榴石が灯っている

億年の歳月を経ても
路傍に光る
存在しない子供たちの
空を流れていく子供たちの
まなこに煌く
スターバトマーテル
 
風の強い夕べだった
僕は屋上の金網にもたれて
空っぽの街を眺めた
地平線には
原子炉を思わせる巨大な穴が口を開け
世界は激しく炎上している
赤光の中
子供たちの長い影が屋上に焼き付いて
世の終わりのロンドを舞う天使は
逆光をにない
黄金色に輝いている


自由詩 地雷原 Copyright ダーザイン 2004-11-04 18:10:11
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