徒手空拳だけど不倶戴天
虹村 凌

世界を呪う事には飽いたし人生を逆恨みするのにも飽いた
全力出すまでの段階踏むのが面倒過ぎて
多分今まで全力なんか出した事が無い
つまりスロースターター
大器晩成とは違う
わかってる事を言われるのは苛つく

十代だったあンたの香りも今は覚えちゃいねぇ
思い出したいけど思い出せないし再現も出来ない
知らねぇ奴等が通ったあンたの肌の上を滑り落ちてみたい
知らねぇ奴等が残した匂いと温度は知りたくもねぇし考えたくもねぇ
それらが今のあンたを構成してるとわかっていても
だからわかってる事を言われるのは嫌なんだ
あぁ
最初の男にさせてくれ(=処女に戻っておくれ)
誰も知らないその匂いを誰も知らないその温度を与えてくれ
そうしてから
最後の男にさせてくれ(=俺の知らない事を言ってくれ)

小さな叫びがあたまン中で残響になって坂を転げ落ちていくように再び世界を呪う
だらしがない


自由詩 徒手空拳だけど不倶戴天 Copyright 虹村 凌 2011-02-24 22:14:52
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