合一
salco

それは男が汚れた靴下を脱ぐ時
それは女がきついガードルを脱ぐ時
みじめに軋るベッドの上で
広い背中を白い手指が所在なげに抱く時
愛はそれぞれに
互いを壊し満たそうと足を引きずり
見栄えのしない坂道を走り始める
こんな小さな置時計の中で

体温と体温は
男性器と女性器は
これ程激しく希求し合うのに
愛は肉に達する事さえできない
愛さえも
互いの臓物のあちこちに巣食う
無形象な言葉の一切を交換し合う橋ではない
何故なら愛もまた儚く不幸に怯えている

空しく重たい裸体は摩擦の一塊りとなり
獣の如く、男は
手負いの獣の如く突進を繰り返し
肉塊の如く、女は
一器官たる肉塊の如く優しく妨げ
攻撃と受容の結合点で起こる調和の音律の中でさえ
己が天国に達しようともがきながら遁走する


自由詩 合一 Copyright salco 2011-02-21 21:55:09縦
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