並ぶひと
恋月 ぴの

横はいりなんかしてないのに
ちゃんと並べと咎められたことがある

トラウマになってしまったのか
また文句言われてしまうのではとオドオドしてみたり

私って気が小さいのかな

それからは列に並ぶの苦手になって
幸せになれるチャンスをみすみす逃してきた

並んでこその人生なのにね


  *
  

ある日の朝、目覚めると行列ができているのに気付く

何の列なのかな?

私だって幸せになりたいんだ
今度こそ何があっても並びぬくんだから

何の列だか判らないままに並ぶ
いつの間にか私の後ろに幾人も並びだしている

いつまで並べばよいのだろう
そもそも、この列のはじめってどこになるんだろう

皆、無表情な顔して並んでいる

何かを気にしているひとなんて誰もいなさそうで
私も何の列だか判らないまま並んでいる


  *


私、横はいりなんかしてないからね



自由詩 並ぶひと Copyright 恋月 ぴの 2011-02-21 19:24:49縦
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