なまえのないいきもの
itukamitaniji

なまえのないいきもの

試験管の中で眠っている
たくさんの夢を見てきたよ
今はもう心臓の音が聞こえてる
もうすぐ生まれるところだよ


誰かが記憶を一雫垂らして
また優しくかき混ぜた
その度に僕は新しい景色を見る
もう瞼は少しずつ開いていて
頬杖をついてる君が見えるよ
君は僕にいつも言ってくれてた
どんな生き物にもなれるよって
後はもう僕次第だって
だから僕は何度も繰り返し
頭の中でイメージしたんだ
羽があったら自由に飛べる
ひれがあったら上手に泳げる

そしてひとつだけ
ほんのひとつだけ
確かに願うことがあるんだ

君が喜ぶような形になりたい
その瞬間には笑ってほしいんだ
だけどそれはどんな形だろう
君の喜ぶような形になるからさ
教えてよ


その瞬間には
素敵な名前をつけてよ





試験管の中で眠っている
たくさんの夢を見てきたよ
今はもう心臓の音が聞こえてる
もうすぐ生まれるところだよ


自由詩 なまえのないいきもの Copyright itukamitaniji 2011-01-20 22:05:05
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