月極姫
るるりら

山間から 金属的な反響音が聞こえる
ブランコのきしみのような音だが大きすぎる音だ
山に反響し どこから 背後から聞こえる気もするし
前方から聞こえる気もする
川岸に下りると クレーンが揺れている
この音かもしれないし はるか山から聞こえる気もする

この私の町も もはや月極だ
月の者と名乗る連中に占拠されて ひさしい
月極め駐車場が まず かれらに占拠された
いまでは 町のあちこちで 金属的な不協和音が聞こえる

人間は 同じということを基本に生きてきた種族だ
人間ではない彼らには 同じということが 解らない
共食いもするし 教育もしない 体に脳はひとつじゃない
クレーンが故障し 彼らのひとりの 真上に落ちた  
体は まっぷたつ
にも関わらず 我感ぜずという様子で 彼は頭は頭で動いていたし
胴体は胴体で 足は足で勝手に動いていた 
頭だけの ヤツが精密機械は自在にあやつる

月極姫は そんな彼らのリーダーだ
かぐや姫のように美しい  透き通る肌 潤いのある瞳 つややかな髪
姫をひとめみた人間は 男であれ 女であれ 惚れっちまう

失神シチマイソウダ
会いたしいよ 狂おしい
なんでもいいから捧げたい
でも姫は、今日も ショッカーのみなさまが 
ショッカーのみなさまの用意したものしか食べない


姫の美しさったら ない
そして 姫はいつも 僕らに言うんだ
「あなたがたとは わたしは ちがうのです」

この町は 月極
死のような恋の町
あいしてる


自由詩 月極姫 Copyright るるりら 2011-01-14 11:39:42
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