かえりみち
あぐり




つつがない日々の帰り道で風が止む

あのひとがいなくなったらわたし、
どんな顔して ここを歩くの

それ以外
変わりようもない流れの中で
緑のフェンスにすがろうとしている
中身のない影が
ずっとずっとずっと 先までのびていくのを見つめている


夕暮れは例えば
黄金糖の先端のようだった
頬の内側を傷付けながら
ともだちはわらいあってさよならをした


わたしがいなくなったらあのひとは
どんな顔をしてここを歩くの

みたことのないそのかすかな表面に
触れる空は、やさしいだろうか

靴をそろえたまま
カーテンは何を頼りに泣いていたんだろう
こまやかに移ろうその先を
ジャムの瓶の底から掴もうとしている

隙間をむさぼると
たしかなわたしの味がした




自由詩 かえりみち Copyright あぐり 2011-01-05 22:27:36縦
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