安全装置
あぐり




話し相手が必要ですか
明日がきみにも必要ですか
呟く意味なんてないのに
誰かに聞かせたい風の音を吸う

今日もまた
さようならを言いに来て
ほんの一口、ブラック飲んだ後
少しだけ髪に触れ
それからやっぱりさようならをするいつもの夕暮れ

うだる暑さに抱かれながら
あたりまえのように息をするやさしさや
ターコイズのほどけた空は遠くて、
何をしたって遠いだけの
そういう安全装置

(祈ることはとても簡単ね
信じることはとても合理的ね
信じられることは少しだけ苦しくて、
だからもう少し
此処にいようかなんて考えてしまう)

話し相手が必要です。
明日にはまたハローを言われて
待っていたことなんか塗り潰した顔でおかえりと言う
さようならの俯いたやさしさに抱かれて、
小さく息をしている、
そんな毎日





自由詩 安全装置 Copyright あぐり 2011-01-05 22:17:33
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