お弁当箱
銀猫



せんせいの言いつけ通り
いちにちに三度
色とりどりのくすりを飲んでいます
そのせいか
痩せこけたカラダもふっくりとし
わたしは死ななくなりました


(服用後は車などの運転をしないでください)


そうでしたか
眠くなるのですね
心臓のまわりでぎくぎくとする神経も
騙されて眠るのですね
こっそり舐めるキャンディーのように
噛み殺せばいいのですね
そうですか
どんな祈りも通用しない、
世の中を儚んでいましたが
眠りは
あっちとこっちの境目あたり
嫌っていたかみさまも
わたしを気遣ってくださるようで
エーデルワイスが聞こえてきます
天国にいちばんちかい時間でしょうか

朝が来てしまったら
色とりどりのくすりを
ピルケースに詰め合わせ
わたしは外に向かいます
そうして
発泡スチロールをむしったような
米つぶを食べながら
きちん、
きちんと
くすりを飲みます

ほんとうにやめ! にしたいとき
あっちに届くくらいのくすりを
天使のようにもらえる術も知りましたが
せんせいの言いつけ通り
いちにちに三度
色とりどりのくすりを飲んでいます


いつでもきちんと三回分
くすりを詰めて
わたしは外に向かいます
ちいさなちいさなおべんと持って。






自由詩 お弁当箱 Copyright 銀猫 2010-12-21 02:49:28縦
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