アマメ庵


ぼくはいつも作業服を着ている
田舎ではみんなそうだったし 何の不自由もない
社名の入った制服 オフの日でも安全靴
それがぼくの正装だ

そんなぼくの格好を 都会の君は嫌った
ある日 一緒に街を歩いていた日
君は 靴を買おうと言った

あれでもない
これでもない
すったもんだの挙句
二人で選んだ NIKEの黒いスニーカー
初めて履くスニーカー
履き具合はなかなか良くて
その日だけは 水溜りを気にしながら歩いたっけ

遠く離れてしまった君
靴を買ったあの日以来 一度も履かれることのないスニーカー
今日も たった一人 下駄箱に残して
ぼくは 仕事に行く


自由詩Copyright アマメ庵 2010-12-13 19:22:38
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