しっぽのついたいのち
とんぼ

月にいちど血の塊を産む
生まれなかった卵と一緒にトイレに流す
私の体は痛む
痛みは臍の下から生まれて体中に(つま先までつま先まで)
それは生まれなかった卵の為に
じんじん じんじんと

どの年のどの卵を選んだらいちばんイイコが生まれるだろか
いちばんイイコは泣かない子
泣いたってどうにもならないということを学んだ母から生まれる子
母の名前は私 昔は娘という名前だった女

おまえがどうか男の子でありますように!
月にいちど卵を流すのではなくて
何万何億のいのちをティッシュペーパーにくるんでゴミ箱に捨てる
そんな風な子を私は生んでみたい
昨日の晩ご飯はたまごかけごはんだった
生まれなかったものはこうして
世界に溢れているのです

生まれたことを考える時わたしはいつも
生まれなかったもののことを考える
私の子宮はその為に痛む
じんじん じんじんと


自由詩 しっぽのついたいのち Copyright とんぼ 2010-12-12 02:44:34
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