毒団子
光井 新

 昔はね、うちの田舎の方じゃぁ、よく、他人様の飼い犬なんかも平気で殺したりしたもんさ。それも大の大人がだよ、それが当たり前で、成人君子か気違いでもない限り、皆そうやって暮らしてきたのさ。
 誤解が無い様に言わせてもらえばね、今時の子等みたいに理由も無く殺したりして、楽しんでた訳じゃぁないんだよ。ちゃんと理由があって殺してたのさ、害獣駆除って言うのかね、人間様の御都合にちょっとでも害為す事があろうものなら、すぐに殺してやったのさ。それだけの理由で、殺してたのさ。ゴミを片付けるのと一緒で、そんなの、楽しいなんて思った事も無ければ、ただ面倒なだけさ。
 今時の子等ってのは気違いなのかねぇ。楽しいからってのが犬を殺す理由になるなんて、そんな屁理屈をこねくりまわす糞ガキばかりさ。
「あああセックスがしたいれす。気持ちいいからしたいれす。一人じゃダメなんら。しゃっくりが止まらない……ひゃっく!」なんて言うもんじゃないのさ。


散文(批評随筆小説等) 毒団子 Copyright 光井 新 2010-12-08 04:47:31縦
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