片付けるひと
恋月 ぴの

今季一号の木枯らし吹き荒れた次の日の朝
あれだけ騒々しかったのが嘘みたいに静まり返っていて
近所の児童公園にはこれでもかってぐらい散り積もった落ち葉

これってプラタナスだよね

比べてみれば私の手のひらよりも
ソフトボールのミットよりもおっきくて
こんなんが夏の強い日差しを癒してくれていたんだ

見渡せば足の踏み場なんか無いぐらい枯葉色に占拠されていて
いったい誰が片付けるんだろう

森のこびとさんたち大忙し
だなんてことは到底ありえなくて

この町から委託された業者さんが片付けてくれるんだろうけど

片付ける

ひとが誰かの何かを片付けるって行為に覚えるのは
我が子の紙おむつからはみ出したウンチ片付けるみたいな愛おしさなのか
それとも亭主の脱ぎ散らかした下着類を片付けるときの鬱陶しさなのか

しりぬぐいじゃ寂しいよね

孤独死のお部屋を片付ける仕事もあるらしい

ひとってさ、産まれるときも死ぬときも
そして死んだ後でさえ誰かのお世話になるってこと

煩わしくもあるけど少なくとも生きていることには感謝しないとね

あれほど思い悩んでいたはずなのに
朝起きてみたらけろっと忘れ去っていた

森のこびとさんたち大忙し
だったのかな

朝食前の散歩でもと児童公園へ出かけてみれば
落ち葉はもうすっかりと片付けられていて

枯れ草の目立つ陽だまりは毛を刈られた羊みたいに凍えてた




自由詩 片付けるひと Copyright 恋月 ぴの 2010-12-06 20:36:49縦
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