晴れて定職に就いた暁には
俺はもうこんな作風は卒業して
聖人君子のようなツラして
聖人君子のような視点から
聖人君子のような詩をかいて
あなたって聖人君子なのと訊けば
私なんてそんな全然ですって
言いながらエスプレッソティを飲むのね？
俺はデザイナーズマンションのさ
あるいは無闇に安くて汚くて
風呂なしの四畳半かどこかでさ
それだって別に本当は全然
ユニットバス付の部屋借りられるくらい
それくらいの収入はあるのにあえて
あえて風呂なしの四畳半を借りて
真冬に流しで体洗ったりするのね？
わざわざ真水で洗ったりするのね？
徒歩で200Mのところにある銭湯には
でも雰囲気を楽しみに行くところだからなんて
別にしなくてもいい肉体労働やってね？
日曜日つぶして会場設営かなんかやってね？
それで二時間くらい浸かってのぼせるの俺
のぼせてふらふらしながらコンビニで発泡酒かうの
夜の公園で飲みながら夜風キモチーとか言うの
で、すっかり満足してまた詩とか書くの
クリスマス間際の喧噪を尻目にさ
ネット注文した旧二級酒の一升瓶抱えてね？
イカでもあぶりながら詩を書くの
それで半年に一回ペースで手作りの詩集出すの
カフェと画廊と生演奏楽しめるバーみたいなさ
そういうところに委託販売の形で置いてね？
ビー玉とかなんかそういうものを付録につけたりもしてね？
で、積極的にいろいろの人たちとなれ合うの
なれ合って好いた惚れたの愛憎劇を繰り広げるの
こじれにこじれてネット上で実名出されて叩かれるの
その頃から作風変えたりなんかしてでも発表は続けるの
それで病んだ的な感じで仕事やめて農業とかやるのプチトマトとか
へちまの成長日記をブログにつけて三日坊主でおわるの
ログイン用のフリメのパス忘れて放置せざるを得なくなるの
ツイッター始めようと思うんだけど英語に抵抗あって二の足踏むの
煙草の値段上がってからこっち愛飲者が増えちまったせいで
あえて わかば を吸ってた頃のカタルシスをすっかり失うの
今はもう巡り巡ってネオシーダーとか吸ってるの
吸いながら他人にそう指摘されるのを永久に待ち続けるの
三十路になっても四十路になっても永久に俺は待ち続けるの