かんらん石
あおば

               101117



ありふれた素性の男が
ありふれた素性の女を捜すが
ありふれた顔をして
どこにもない石を捜す女の顔は
ふり向くことを忘れ
ありふれた男の姿が目に入らない
ブルーサファイアを嵌めた指が
こちらを向くのを待つ長すぎる
緑色に焦がれる地表の黒化と
噴き出す溶岩の赤黒い冷却期間
幾層にも重なる分厚い岩盤を堅め
パートナーとのなれそめを
読み取れない文字で刻む
忘れられた王朝の歴史の
橄欖石に刻まれた古文書を
好きなだけコピペして貼り付けられた
日当たりの良い歩道のタイル舗装は
三輪自転車のスムーズなペダルの歩み
ゆっくり走らせながらも赤黒に反射して
厳しい冬の訪れを知らせようともしない






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作


自由詩 かんらん石 Copyright あおば 2010-11-18 01:22:16
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