ケーハクなひと
恋月 ぴの

「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く

う〜ん、淋しいかも

開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛ってことだと思っていた

夢を夢と信じる
それさえも叶わないのなら
これ以上生きてても仕方ないだなんて思いつめてた

単に短絡的だっただけのような

「今度こそ!」を繰り返しては
私の懐からお金むしり取っていった男の愛した女も私じゃなかった

なんだかねえ

無性に誰かと話したかったけど
それって、ひとりプリクラの狭い仕切りのなかで
あれこれとポーズ決めてみるのとおんなじ位に虚しくてさ

数少ない友だちを
そして母親さえも裏切り続け
空っぽになったお財布よりも軽かった私のこころ
馬鹿な男をかばい続けた私のこころ

わたしってさ、おひとよしすぎるんだよね

夢を夢と信じてはいけないんだと思い知らされ

Chotto Matte Kudasaai!

誰かに呼び止められた気がして振り返ったけど、当然にして誰ひとりいやしなくて
それはそれで良いのだと独り頷き

ふわり宙に舞う身体の軽さを受け止めてみた






自由詩 ケーハクなひと Copyright 恋月 ぴの 2010-11-01 19:39:58縦
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