G
yuko

降り積もる雪の重みに
夜が
耐えきれず落ちていく
そうして彼女らは埋もれていくのだ

ひるがえった真夏の
影を踏んだあなたと
鳴くこともなく
死んでいった虫たち

絶えず
流れていくものに
足首まで浸して
スカートをたくしあげて叫んでいた
首筋を
太陽が焼く

かつて
わたしたちは自由だった しかし
その陰で
すべてはすでに失われ続けていた
、失われたのだ

柔らかい肌の少女が
刺を踏みながら歩いていく
その跡を
血が流れない
わたしたちは
見て見ぬふりをする
こころの弱いわたしたちはあなたを知らない
知ろうともしない
そして
雪のなか傘を点す

夜の底を
掃き
清める彼女らの
いのちの影が
揺れて
ろうそくは消え

ただ
うだるような暑さが
ひとびとを圧し
広大なビル郡は
光を
反射し続けている
地中を
水が流れ
小さな
小さなわたしたちは
しめやかに
根を張り
その上に雪が積もる


自由詩 G Copyright yuko 2010-10-26 23:43:09
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