牛丼
服部聖一

あなたとなら、よなかの吉野家にだって行ける
だって、誰がいてもいなくても関係ないから
あなたとなら、地球の反対側くらい遠く離れていても

遠くで「キーン」という打球音が聞こえる
真夏のグランドで
鼻の頭に玉の汗をかきながら
砂だらけになりながら走り回る
空を見上げても、雲は見ない

毛穴の見えない距離というなら
空より遠くに行かなきゃ ならんわな
それなら、ロケットに乗らな ならんわな
金がかかりすぎるわ
などと、バカな話しをしながら
白っぽい紅ショウガを乗せた牛丼をかき込んでいたりするのだ

結局、毛穴は
毛穴は牛丼にかくれて見えない


自由詩 牛丼 Copyright 服部聖一 2010-10-21 16:05:19
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