馬鹿が見る
虹村 凌

愛こそ全てだとか何だとか
よくわかりもしねー情報を耳から流し込んできたけれど
結局は世の中で一番強いのは現金じゃん
みたいな話をして
親を泣かせるのは親不孝なんだろうか
綺麗事で飯喰えるなら
きっと腹が減る事なんかありゃしねぇのに
違うか
綺麗事が言えないから
ずっと腹減ってんだろう
今も

みたいな話をしたらマジな顔で引かれたり
何て言っていいのかわかりませんって顔に書いてあって
自分の生きてる価値を心底疑いながら
死にたい気持ちで煙草を吸う訳だ
煙草吸ってるだけで死ねって目で見られるし
まともな恋愛してねーだけで後ろ指さされて笑われる
別に反吐も出ねぇし笑えもしねぇ
期待なんざしちゃいねぇからな

世の中全ての俺をイラつかせる出来事に喧嘩売ってたら
多分まともに日常生活送れねーくらい色々と苛々する
それくらい暇な日常送ってる自覚程度は持ち合わせている
ギリギリで卑屈になり過ぎないバランスを保ちながら
何時になったら全てが終わって
何時になったら全てが報われるんだろう
東京で季節を何回か超えて
風が吹いてる丘の上で煙草吸って
夢みたいな家を這い出て
愛はずっと前にひっくり返ったまま
ひっくり返した人と過ごす

てめーの物差しで俺を計るんじゃねぇと叫んだところで
金も仕事も無いようなクズを計る物差しなんざありゃしねぇ
あと100回くらい生まれ直したらもう少しマシになれるのかな
人を騙したり物を盗んだりしないで
世界とか言っちゃわない感じの
よくわかんねぇけどそういう感じの人間になれるのかな
別になりたいと思ってるからあと500回生まれ直しても無理か

愛情だとか友情だとか人情だとか言うけれど
どれもこれもよくわかりゃしねぇ
何となく口にすりゃ気恥ずかしいだとか格好いいだとか
どれもこれもよくわかりゃしねぇ

誰かを安心させる為に瞬間的に俺みたいなのが必要なら
俺みたいなのを安心させる為に俺は誰を欲すればいいんだろ
豚の安心はいらないの狼の不安も背負いたく無いの
人間の不安を背負ってるから人間の安心が欲しいの
みたいな話をしても真顔で納得されちゃったりして
頼むからもう300回死んできてくれ
頼むから俺を苛つかせないでくれ
頼むから俺を闇討ちして一気に殺しておくれよ
面倒くせぇじゃんかもう
勝ちたきゃ勝たせてやるよ何だって
俺より上だと思いたいならそれでいい
面倒くせぇから
相手が誰だってそう思うよ

ろくに技術も磨かないし推敲もしないで
十年以上も言葉をいじくり続けて
本来は云々
元々はかんぬん
難しい横文字とよくわかんねー日本語で色々戦ってるみたいな感じで
何言ってっかサッパリわかんねーんで読む気にもなれねぇし
特に言いたいこともねーから黙ってる訳だ
たまに余計な事言って睨まれてビビって黙るのがオチ

今日で全てが終わって
今日で全てが報われないかな
タイムマシーンみたいなのに乗って
あの日あの時あの場所で
あの子とヤってりゃ世界は変わったのか何て考えながら
今日で全てがみたいな話とか
世界とか言っちゃわない人になりたいなーって思うんだけど
興味持てねーから煙草吸いながら人生ロムってる感じなんだわ今


自由詩 馬鹿が見る Copyright 虹村 凌 2010-10-15 00:42:09
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