GRADUATION
渡 ひろこ

ずっと寄りかかっていた
揺るぎない背もたれとして安心しきって
あなたが感じている重たさも
慈愛で受け入れて
融かしてくれているのだと思っていた


いま、青に導かれて去ろうとしている


異国のスピリチュアルなアイスブルーの言葉に
真理を見つけたのだという
オポノポノという不思議な響きの
ジコケイハツのチケットを手にいれて
出帆しようとしている


私にもそっとチケットを渡してくれたのに
どうしてかその帆船には乗れなかった
いや、乗ってはみたが
そこに在るあまりにも澄んだ青い水が
身体に浸透しなかった


いつしか肌は潤って艶めき 目は爛々と見開き
魂のステージを上がっていくあなた
内なる潜在意識に向かって次々とクリーニングを行い
ネガティブな記憶も温かなメモリーも消し
きっと私もクリーニングされて
消されてしまったのだろう


手をのばして求めても
ゆらりとかわす青のドレープ
尚もつかもうとすると
柔らかく包んで押し戻される


(周りに光を照らしていくことは苦しかったのですね
 
自らを照らし輝く楽園を見つけてしまった、のですね…)


 
大事に握りしめていたチケットは
あなたからの卒業証書と変わり
独りで立つことを覚えた私は


揺らめく青いオーロラの奥の奥

追い風を受けて出帆し

水平線に見え隠れするあなたを

その灯が消えるまで

爪先立って見送る




           
※オポノポノ ハワイ発祥の伝統的な問題解決法





自由詩 GRADUATION Copyright 渡 ひろこ 2010-10-12 19:50:53縦
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