弧狼
アラガイs


岩場の上から禿鷹が笑ってぃやがる
(それみろ‥空ばかり見るから皆からはぐれちまったろう)


情けない
このぼろぼろな今の俺を見てくれよ
ただ野うさぎを追いかけてりゃよかったものを
ひとりぼっちで死ぬのは怖くはないが
ひとりぼっちで生きるのは辛いものさ

悔いても遅いのか
野ねずみまで笑っていやがる
この俺の衰えた足を見て
俺だって昔はちゃんと狩りが出来たのに

それが
あいつの
あのネバァ川沿いの死に損ない人間が書いた文字とやらを見たばかりに
どうしたものか
まだ誰も見たこのない
幽霊のような
大きな怪物ばかりを狙うようになってしまった

カラスが言い捨てたよ

(オマエはユメにみるシアワセをマチガエタだけだ)


そうだろよ
俺は
つまり
この広い荒野を
さすらうだけさ迷いながら
何も得られないままに朽ち果てるってわけさ

(しかしな‥)
年老いた狼がそう言いかけたとき
禿鷹は雲ひとつない大空のもとへと飛び去っていった。







自由詩 弧狼 Copyright アラガイs 2010-10-11 02:30:09
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