静物画
テシノ

燭台に突き刺した月を育てる
見ろ
昔燃やしたものがゆっくりと蘇る

こうなる六ヶ月前
舌は正常さについてを繰り返し
そしていつの間にか燃える事なくただ焦げていった

深い森を想う
舌先の熱を燭台に移す
木立に憩う心臓の鼓動を想う
手足は畜生まぎれの痙攣に泣く
砂溜まりの窓
風の落下
いつか森でなくした時計が草に包まれて針を止める

金属が腐食するように
拭っても熱のまま
錆びていく月の赤い様子を
細い窓に映す磔刑


自由詩 静物画 Copyright テシノ 2010-10-06 11:22:17
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