愛の最前線
吉岡ペペロ
人類を代表して最愛にねじこんだペニスは
ぼくをまるで岬の突端に立たせていたのだった
風が吹いていた
ここに地終わり、海始まる、
愛の最前線とはこんなところだったのだ
クリムトの描く至福の顔におんなは似ていた
停まってしまったCDを再生しに
ぼくらは繋がったまま5メートルをあるいた
おんながボタンを押した
ぼくはうえからおんなの曲線を見つめていた
それはシャガールの描く人物のカーブに似ていた
おんなのからだはうつくしかった
ぼくはどうしたらよいのかも分からない
中学二年の秋でしかないようだった
それは欲望と呼べる代物でも
ましてや純情でもないようだった
ぼくはおんなに叩かせてくれと頼んでいた
人類を代表して最愛にねじこんだペニスは
ぼくをまるで岬の突端に立たせていたのだった
風が吹いていた
ここに地終わり、海始まる、
愛の最前線とはこんなところだったのだ