恥じらいと恐れ
蒼木りん

自分のことで
人の手を煩わすことは
恥ずかしいことだと思いなさい
それに気づかないことは
恐ろしいことだと思いなさい
いつか
それに気づいたならば
感謝しなさい

はじまりのすべては
人社会に無知で
傷つけられて臆病で
常識とか
十人十色の感情が面倒で
あまいもの食べて
布団に包まって
寝ていられればよかった

人の目を見ないで済むように
下を向いて
ただ課せられた仕事をこなせば
自由とお金が入る
そうやって独りで
生きてゆこうと思ったのに
何故にそうは往かなかない
ほっといてくれればいいのに

人間は
平等だというけれど
良運悪運は
同じ量だというけれど
中央に引いた線を
はみ出さずに歩いていきたいと
願ってしまうのは
弱さに見えるんでしょう

放った言葉は
花束にもなり刃にもなり
そして後効きの薬
良薬か毒薬
仕掛けられたり仕掛けたり
大切なひとには
そのことがわかってもらえるだろうか
わたしがいなくなっても

もうひとつ

勇気
という言葉を付け加えよう

もうひとつ



付け加えたい言葉が
増えていく




自由詩 恥じらいと恐れ Copyright 蒼木りん 2010-10-01 19:51:20
notebook Home 戻る  過去 未来