タロットカード
西日 茜

「大人になっても空気が読めない人」と、教えたとき
研究室のドアを勢いよく開けて君を呼んだあの眼鏡の
特徴の無い地味な女を思いうかべていたのです。
その日は、研究発表の準備会があり
専科が集まっていたそうですが
だったらその人たちと連んで帰ればいいじゃないですか。
なんで君と帰るの?バカしゃない?
あのとき、部屋の中は一瞬凍りつきましたが
君の態度がもっと痛かったです。
「あ、僕の彼女ですから」ってウソでしょ?
「チャラ男ですみません」とつっこみ入れた
あの人はすごいっ!
拍手しそうになりましたよ。
あんな程度の女が君の彼女だなんてガッカリ。
あれじゃ、箸にも棒にもかからない。
まったく眼中にありません。
どうせ勝負するならもっとましな女じゃないとダメです。
あの日から、君という存在はもうどうでもいいかも。
ごめんね。私は嫌な女です。
それなりの難易度がないと、やる気が失せるんですよ。
いまのところ、どうでもいいです。
夕べも夜中まで教材研究に勤しみました。
やっぱり、仕事です。これですね。
女心と秋の空。なんちゃって。
あーあ、つまんない、退屈です。
しおらしく上目遣いにやってみる。
首をかしげてみつめる君の下心。本心?
やんちゃなふりもそろそろ潮時だね。
なんか他の手考えてくれない?
きっとヤバイと思っているだろう君。
このごろやけに慎重な態度。
そうそう、もうすこし、大人になろうね。
わたしは平気。大人買いの衝動買いで
ストレスはしばらく発散できますから。
それに、週末にはお気に入りの挿絵の
タロットカードが届きます。
秋の夜長は占いでもして過ごしましょう。

なんかいいことないかな・・・



自由詩 タロットカード Copyright 西日 茜 2010-09-28 23:14:05
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