世界の果て
itukamitaniji

世界の果て

夜の駅を守る黒猫
通り過ぎるだけの貨物列車
人身事故のアナウンス
行き先は決まっている列車
決して銀河鉄道なんかじゃない
混雑した車内
優先座席は外人が占拠してる
見上げたネオンの街
ベンチで飲む缶ビールの味
片方だけ鳴らないイヤフォン
思い出して口ずさむ歌
思い出せないタイトル
電池切れの携帯電話
返却期限切れのDVD
いつの間にか止んでた雨
何処かで忘れたビニール傘
通り過ぎる人混み
あの人によく似た後姿
振り返ってがっかり
遅れた待ち合わせ
点滅を始める信号
走り出すスニーカー
ぶつかった男の舌打ち
誰かによく似た声に
呼ばれた気がした名前
立ち止まった横断歩道の真ん中
振り返り見上げた空に
名前の知らない星


自由詩 世界の果て Copyright itukamitaniji 2010-09-27 23:40:05
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