三叉路のひと
恋月 ぴの

立ち止まるひと
立ち止まらないひと

その違いってなんなんだろうね

わたしなんか立ち止まらないひとだと思ってたのに
こんなとこに5年間も立ち止まってしまっていて

指先器用でギターとか爪弾けるなら
この三叉路の傍らにでもしゃがみこんでさ
行き交う人びとの視線なんかおかまいなしに
好きな曲のひとつでも歌うんだけど

わたしって日がな一日何してたんだろうね

三叉路から眺める夕焼けは恐ろしいほどに美しく
ひとりで生きる寂しさなんか忘れてしまいそうになるけど
わたしの意志とは無関係に明日は必ず訪れる

それでもこの三叉路はわたしのヤサみたいなもので
街路樹は優しげに色づいてくれて

立ち止まるひと
立ち止まらないひと

いつかは立ち去らなければならないとしても

耕したばかりの畑に秋蒔きの種でも蒔くように
この三叉路でわたし、着古した長袖シャツに袖を通し
乱筆乱文お許しくださいとあなたに宛てた思いに添える





自由詩 三叉路のひと Copyright 恋月 ぴの 2010-09-27 19:57:05縦
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