かみさまのレシピ
あぐり




今夜わたしが泣くための哀しみのレシピは
あなたが神様であることです。


(こまやかにその肌をついばむ)


中身はわたしとおなじであるのに
慈しみだけですべてをゆるされてしまうからまだまだ悪いことをしなくちゃならない
神様、あなたの顔が歪むのを
それだけを待ち望んでいます青白い入り江
わたしだけに向けられる嘲りや嫌悪や侮蔑を
望まれているから神様はまだ微笑んでしまうの
そういう空気は読めるから
わたしかなしくて
今夜も美味しく飲み込めました


(やさしく刻まれていると、わたしはせかいじゅうでいちばんの悪人になれるのです)


むかし
わたしのあばらだった
You were born.
うまれた時からずぶぬれですがあなたはわたしのあばらでした
かたくて、つめたい、あなたの、
骨を噛むと安心したものです
あなたを神様にあつらえると
もうわたしの為に泣く人はいなかったけれど
だから、もう、
わたしも哀しみのレシピを
検索しているのです毎晩

ひたひたと渇れることない海は誰でしたか
いつか聞いた、
(善人が天国にいけるのです、それなら何故、あなた方のような卑しい人間が、天国にいけないわけがありましょうか)

かみさまはいつだってわたしのものではありませんでした






自由詩 かみさまのレシピ Copyright あぐり 2010-09-18 22:14:29縦
notebook Home 戻る  過去 未来