ある男の、ベッドに
番田
真冬の風の中で濁った息を吐きながら
夜のニューヨークのメインストリートを歩いた
私は息を吐いては その向こうに
車の窓から 見つめている
私は今日も ブロンクス通りに向かうのだと思う
夜の五番街の大通りを
あてもなく ぼんやりと さまよい歩いて
今日もいるべき場所に 道ばたを見つめていたのかもしれない
パソコンを ぼんやり 小脇にたずさえながら
ボートデッキでハンバーガーを食べる人を見て
新しくできたダウンタウンの画廊の前を通り過ぎる
新鋭作家の作品というと あまり売れないものだが
最近は市場の動向も 変わってきたという
*
1ドルもしなかったコーラをスーパーで手に入れて
見えない星を路地裏で数えた
エサを猫にやって アパートのドアを今日も押した
これから世界のどこに行くというわけでもなかったけれど
そこに行ける場所など確かにあるのだろうかと
今日も私は緑の布団に横になる
そこに行ける場所など確かにあるのだろうかと
そこに誰かは夢を見るのかもしれなかった
そこに行ける場所など確かにあるのだろうかと
今日にさようならとつぶやいて