黒板
たもつ

 
 
今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から
銃撃戦の音が聞こえる
死んだヒトの数で
ヒトはその事実の大きさを伝えようとする
その方がいろいろな面で
きっと楽なのだろう
それから先生はみんなに手づくりのお菓子を
配る絵を描いてくれた
どちらが見送る側で
どちらが見送られる側か
わからないけれど
もうお別れなんだな、と思った
お礼にぼくらは大きな声で歌う
そんな絵を描いた
ぼくらは
生きるために産まれてきたのではなく
産まれるために生きてきた
そう信じても
許される気がした
 
 


自由詩 黒板 Copyright たもつ 2010-09-15 22:30:29
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