ふれぬそで
あおば

                 100911



隣町に雨が降るから
ふるふると傘を差せ
天井から小判も笑い出し
釣りは要らぬと大盤振る舞い
夢かとばかりに
オケラの親子も顔を出すよ
朝の支度をグリムに任せ
ミドリのコビトが馬に跨り
緑野を巡って闊歩する五月には
天井知らずの円高も喚くが
一円の攻防を忘れた紳士淑女の集団が
腕組みしたまま観覧席に固着して
ああ堂々の行進曲も鳴りやむと
楽団員は三々五々お茶を啜りだし
職にあぶれた愉快なガクダンが
一斉に原爆アラレを配りだし
一円の重みに耐えかねた
木汁、活性炭、高野豆腐の連盟も
バレンバレンとシンバルを打ち鳴らし
その音の喧しいことといったら
雛アラレをバリボリとかじる音以上です
振袖も耳を塞いで二の腕を露出させ
腰元にはしたないと咎められてしまうほどでありました。






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。
タイトルは、野の花ほかけさん。




自由詩 ふれぬそで Copyright あおば 2010-09-11 23:36:06
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