うろおろのむし
あおば

                     100905




いつかの
間違いのない期間を
充実させた大型の骨組み
シロナガスクジラからコクジラにイルカ
8月の醤油樽は乾ききって罅が割れてきているが
たがが外れているわけでもなく
樽の尊厳の記憶に疑いの余地は無く
訳もない通奏低音に酔いしれて
斜断する回転ノコギリの鋭い切れ味に耽溺した十代の微笑が
残された酷暑にくさびを打ち
ゼロの地点に集まるあらゆる種類の虫を鳴かせ
耳鳴りに似たホワイトノイズの音色を聞き分けながら
空の色をコントロールしているみたいだ






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。
タイトルは、FUJISUZUKOさん。




自由詩 うろおろのむし Copyright あおば 2010-09-05 14:43:51
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