お菓子づくり
西日 茜

お菓子はね、子供や、それから男のためにあるのよ。
甘いお菓子のにおいに騙された子供は従うようになります。
とろけるようなめまいの中で男は幸せになります。
子供も男も基本は同じです。
ホームメイドパイはほんのり甘く
りんごをバターでじっくり煮るの。
家中に甘いにおいが充満し
壁や柱やソファやタペストリーに染みつく。
子供は眠りに落ち、男は女を抱きたくなるんだわ。
お腹いっぱいに満たされて、いつしか女も眠りにつく。
いい?これが家庭?やすらぎとセックスが
永遠に続くような錯覚をもたらすの。
たくさん子供を産んで、やがて老いてしまうけど
お菓子の思い出は消えないかしら?
あなたはどれだけのお菓子を食べましたか?
あなたはどれだけのお菓子を作りましたか?


自由詩 お菓子づくり Copyright 西日 茜 2010-09-05 11:54:57
notebook Home 戻る  過去 未来