148歳
イシダユーリ

高速道路からみえる
一番目立つ集合住宅
おそらく
ここは
八王子あたり
名前を
つける

マツリハイツ

窓のひとつ
ひとつに
すき 
きらい 

はりつける
頭だけを
はりつける
身体を
しらなかった
「雲が巨根」
「一番イタイ目みなきゃだめなんだよ」
「タフさがゾンビみたい」
「胃が3つ 腸も3つ それでも半人前か」
「ウシ! ウマ! ウシ! ウマ!」
「ライオンズマンションなんてクソくらえだ」
「世間わかってねえんだよ」
わたしは
尽きない
悪口でも
称賛でも
ない
けれど
会話の
8割を占める
雑言を
マツリハイツに
むけて
叫ぶ
もう! 
ここは!
東京じゃ!
ない!!!!
空に
吹き出しが
ひろがり
マツリハイツに
つきささる
「サイコー」
「エモい 超エモい」
「ヤバイ」
「ヤバイ」
「ヤバイ」
「ヤバイ」








「ヤバイ」
おれ
神取忍が
泣かないように
してるとこ
みたら
もう
一生
打ち上げ花火
みられなくっても
いい
「ヤバイ」
「あれ」
「おおきくなる」
「こっちくる」
わたしは
高速道路のうえで
わたしたちになっていた

「わたしたち」

マツリハイツを
殴打したあとに
愛撫した
マツリハイツを
刺したあとに
止血した
マツリハイツを
窒息させたあとに
蘇生させた
壊死
していた
ことは
すっかり
わすれた

世界って
クソみたいに
「すばらしい」

人間って
「クソみたいに」
すばらしい
ラー
わたしたちは
「ヤー」
鼻水をたらしながら
眼をぎらつかせた
「神取忍」
「白鳥忍」
「かんどりしのぶ」
「しらとりしのぶ」
「あらいしのぶ」
「しのぶ」
「しのぶ」
「ほくと」
「しのぶ」
「ほくと」
「ア」
「ジャ」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









神様よびだしてんじゃねえよ
きれいな顔で
泥団子をさしだすな
いのって
ねえ
いのって
って
わらうな
にこにこするな
ローン組めない
おまえの宗教なんか
知らねえよ

が通じねえ
いのって
いのって
いのって

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マツリハイツが
体液を逆流させて
近所迷惑になった
いのらないでください!
隣人にころされますから!
  すばらしかった
  わたし
  にんげんだもん
  せかい
  というところに
  いるんだもん
いのって
うるせえ
いのって
だまれ
  よだれをたらしながら
  矢を放った
  雨が呼ばれた
  マツリハイツは
  三鷹の森に
  のみこまれていった
スゲー
ヤベエ
キレイ

だって
わたしたち
にんげんだもん
わたしたち
おとこのこだもん
わたしたち
おんなのこだもん
マツリハイツは
わたしたちから
なにか
気持ちわるいものを
噴きださせるための
装置だ
ヒューマノイドのように
間違え
まっさらに
みえる服を
着て
言う
ヤツら
わたしたちを
馬鹿にしてる!







目を血走らせて
わたしたちは
マツリハイツに
しがみついた
うすいみどり色を
イメージする
まちがえた
そもそも生まれがちがうから
強い!
弱い!
ズルイ!
どうせ愛されない
不器用だ
という器用な自覚
ズルイ!
ズルイ!
自分以外はみんなズルイ!
正しいことばかり
言わないでよ

おっぱいは言った

神様
よびだしてんじゃねえよ

かぶって
べつの動物のふり

踊ってんじゃねえよ
目を
つぶれば
足元に
彼岸が
目を
あければ
ひとの
群れが

空に穴があいて
そこから
とりだす
腕を
肩までつっこむ

ミカが言った

ダイスケは
許してくれよ
と言って
泣き崩れる

許してくれよ
おまえが
なにいってんのか
ぜんぜん
わかんねえよ

マツリハイツが
森をのみこんでいく








マツリハイツ
鼻水 よだれ 充血 汗
あざ きず しみ にきび
毛 膿 毛穴 粉
きれい うつくしい すばらしい

何度うまれかわっても
わたしたちは
ブスにブスと言うのをやめない
デブにデブと言うのをやめない
美人を
変な目でみるのを
やめない
服は
ほつれ
金属に
ひっかかる
そのたびに
頭が
揺らされる
女に
メスと
いう
それらの声に
わかってない

言うのを
やめない

いま
マツリハイツは
床下浸水
ひしめきあっている
まるで
ヒューマノイド
すばらしい

装置

マツリハイツ

みにくい
うまれるのを
やめない
装置

みにくい

装置

すばらしい

破裂して
しみつく
から
誰が
うまれても
うつくしい

神様
よびだしてんじゃねえよ
ここには
人間しかいない
おびただしい
人間だけがいる





自由詩 148歳 Copyright イシダユーリ 2010-08-23 22:05:22
notebook Home 戻る  過去 未来