ラブソング
恋月 ぴの
ラブとラブのあいだに愛がある
なんだかそんな気がしてね
久しぶりに歩いてみた渋谷の街は
良い意味での乱雑さを失いつつあるようで
道玄坂下から円山町
色褪せたラブホの佇まいは老娼の厚化粧にさえ見えてしまう
真実と真実のあいだに嘘がある
なにげにそんな言い訳大好きで
妊娠しちゃったかも
見えすいた嘘で愛の深さを測りつつ
ポエジィとポエジィのあいだに言葉があるのだから
傷つけて
傷つけ合って
それでもふたり寄り添えば
どこそで拾ってきた指輪であっても嬉しいもので
ラブとラブのあいだに愛がある
なんだかそんな気がしてね
自分だけは違うんだと叫びたくても
時間とお金に縛られているのには違いなくて
宮下公園はいつの間にかNIKEパークと呼ばれてた
言葉の持つ力に寄りかかっちゃいけないよ
それだからこそのポエジィってこともあり得そうだけど
明治通りを辿れば原宿駅は程近い
ほんの僅かな秋の気配を見出しては自らに言い聞かせる
これもいわゆる人生ってやつなんだから
サイズ違いの指輪でも感謝を込めて残暑厳しい青空にかざした