重力加速度
渡 ひろこ

また背中にGがかかる
いや、重力ではなく塊りが押して圧迫している
左の肩甲骨の上に乗るコンフュージョン
緊張が高まり首筋まで凝ってくる
あまりの重さに頭の中で
コットンフラワーが咲き乱れ
もう何カ月も思考が停止したままだ
放っておくといずれ脳幹まで 
綿が詰まってしまうだろう


切り割いて
1tのコンフュージョン
それは解凍された保冷剤の感触
ぬぺりと肌に張りつく
憑かれた感情 ジャンクなパワーストーンでは守れない
うつぶせのまま重みでズブズブ沈んでいく
堕ちていく 誰か助けて 浮上させて
ふと何かが頬をかすめる 耳元で囁く
スピリチュアルな言葉で斬りなさい、と         
ああ でも 加速して 落下 していく

(F,G7,C=完全終止形、2度、5度、1度、ツ―・ファイブ・ワンスタンスが違うから弾けないんだ 
先行詩人って?遮断される睡眠、メンソールの匂い、睨んでくる白眼、
男友達なんて幻影、一匹狼ではなくただのハグレ狼、握ったままのメール…)
                       
摩擦熱で膨張してひび割れたクレバスから                     
飛び散るカオス 浅はかなつぶやき                        
内包された石榴のような深層には
まだ到達していない                

                                        
そう、背中に錘をつけられたワタシは                       
未だ水底に潜ったままだ                             
囁きの音源を求めて水面を見上げている                      
痛いほど首を曲げて                               




                                   
           
※コンフュージョン(confusion)昏迷
                              


自由詩 重力加速度 Copyright 渡 ひろこ 2010-08-17 20:46:40
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