こげパンチは発火するほどバーニング
佐々木妖精

晩ご飯の魚と目が合った日のことを、覚えていますか。
腹の中の子まで食われ白骨化してるくせに、目だけはしっかり残ってやがった。

ゲーチェなんかがそう言っていたことにして
正しさってさ、使命感のことだよ。
たとえばそう、僕の空間はこの身体しか占拠できず、君の身体は君しか当てはまらない。身体が人の正当性なんだ。だから僕はもっと早く、口を振りかざしたくてたまらないのさ。

夕暮れ
全ての大人は飲み屋で大気圏突破を試み、誰が切離しブースターになるかで揉めている。
世の中おかしいのは僕の仕業さと胸を張り、人はなぜ兎跳ぶのかと原液をジンで割る。
たとえば焼き目が焦げ目でないように、アンパンマンとこげぱんは違います。
月を目指し地に伏したマントは朽ちてなお熱を放ち、あんこは落下する過程で蒸発してしまったのかもしれないけど、全てのパンは同根で、中は小麦色でなく純白なんだ。
餡子が黒いのはそう、甘さの証で、イカスミと違ってちっとも生臭くないだろう?つまりはミディアムレアで、みな食パンマンのようなイケメンさ。ほんとうだよ
と、助走距離自由競争が続く
ビールもマリブも急激にストレートになる

真夜中
子供として叫んだ夢が、目覚めを感じ取る
たとえばあの子が泣いていた時
たとえばそれを、拭いようのない時
そんなとき僕は、神様より先に祈りがあったんだと、信じることが出来るんだ
だから一刻も早く、僕は神にならないといけなくて
酒臭い布団の中、抱き寄せた自身の肩が、予想外にあついと知る。


自由詩 こげパンチは発火するほどバーニング Copyright 佐々木妖精 2010-08-09 13:58:46
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