おまえのお気に入りをおれによこせ
露崎

どこかへ詩を読みに行ってつまらなかった。なんて当たり前すぎることで、そういうのをいちいちクサすのはもうやめにしよう。っと20歳のときぐらいにおもった。残念な詩に遭遇するなんてことは、もう、夏があついぐらいありふれたことなんだとおもう。

ダメな作品を読んで緑の毒霧をリング上で吐き出したくなる人というのは、おもしろい詩を毎回読みたいとおもってるからじゃないだろうか。おもしろい作品に出会いたいとおもっている人ほど、ダークサイドに堕ちてしまいがち。皮肉なことである。残念な詩からは逃れられないし、じぶんだけおもしろい詩を読みまくりたいというのはずるいじゃんか。たぶん、おもしろい詩を読むことをあきらめたものが、何十回にいちど、素敵な作品にであうように出来ているとおもうのだよね。

わたしはショートレビューというのをやっていますが、そう簡単に「つまらなかった」とはやっぱり書けない。自分にとってはそうだっただけでだれかにとっては大切な作品になるかもしれないのに、その一言で出会う機会を摘んでしまったら、ちょっと申しわけない気がする。レビューでは僕にとってイマイチだった部分をなるべく遠まわしに書くようにしている。逆によかった詩を誉めることはためらわない。どんどん読んでほしいから。

わたしはみんなもっとじぶんの好きな作品をアピールしてくれればいいのに。とおもう。どこがどう面白くて、じぶんはこう思ったんだ。っていうのを、別にありふれていたっていいから、発表してほしい。ポイントじゃ、わたしには物足りないし、届かないよ。少なくともその文章で好きって気持ちが伝わるし、ぼくは「そうか」とおもって読みに行くもの。

そして、そういうものがたくさんあるからこそ、「これはこういうところがまずくて、だからこうすべきなんじゃないか」とか「いや、この作品はダメだよ」という読み方が生きてくるし、「いや、こう読んだらおもしろかったんだよ!」というやり取りがあったっていい。わたしはそういうものをひっくるめて詩を楽しみたいと思ってる。好きだと言うことをためらってほしくない。つまらないという発言を嫌悪してほしくない。そういう現代詩フォーラムであってほしい。そんでもって、ツユサキくんにレビューされたいという女子が増え、モテたい。(台無し)


散文(批評随筆小説等) おまえのお気に入りをおれによこせ Copyright 露崎 2010-08-04 14:10:24
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