イカロス
あおば

                100731



分解された観念を再構築し脚の生えた幼い蛙どもが
道路を横切るままに車が走り出す時間帯を避けた蟹
の群れも向こう側に渡り行方不明の調査船が不時着
したという噂がこの山の麓まで伝わってくる間に孵
化したものたちが一斉に旅立ちの準備を整えつぎつ
ぎと調査船に乗り込んで離陸を果たし不届きな速い
船は定速のままに右旋回して角度を稼ぎジグザグと
遅い船の針路を妨害するかのような乱れた挙動を繰
り返す太陽電池を頼りとする惑星間航行に付きもの
の進路を右に左に余裕を持って舵を切る勇姿が北東
に見え出す頃に紅い月が上る。イカロスの再来だ。






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を修正。タイトルは、クローバーさん。




自由詩 イカロス Copyright あおば 2010-07-31 02:02:04
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