眠れる森
三奈

ぼきっ
骨ばったゆびの折れるおと

まるで、マリオネットのよう
一人では立てない私を君は何故慈しむの?


『早く治るように』


そういって塗ってくれた薬は
今でも確かな熱を保っている

眠らない森で、君がくれた沢山の“肯定”

縋る様に膝を抱え、頬でその熱を感じた瞬間
眠らない森は、眠れる森へと変わってゆく

微かに香る花の匂い
南風に揺れる木々
呼吸する夏草

君が残した言葉の中に“否定”はひとつもなかったね

不安だらけだった私の心を穏やかにする術を
君はいつから知っていたの?


自由詩 眠れる森 Copyright 三奈 2010-07-31 00:08:01
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