蝉と月
あおば

                100729




生煮えのこんにゃくを囓る蝉の声は月光
今宵の味が染み込んでいるのか
いつもの屋台のお店にも客足が絶えないようだが
車が普及して以来
プラリと立ち寄る客ばかり増えて
宵の口から腰を据える常連がいなくなり
こんにゃくに味が染み込む暇もないくらいだと
月夜のおしゃべりを楽しむ二人は田楽にかぶりつく
蝉の声がして
地球温暖化の影響を唱える声と重なって
ブブゼラのように騒がしい
光の筋は良いのだからと
じっくりと構えた目が夜空に瞬く星を捕らえた







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を修正。タイトルは、ABさん。


自由詩 蝉と月 Copyright あおば 2010-07-29 01:30:18
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